わたし郡司ウラン!

 あのねうちんちのお母さんはよく八百屋さんで《モヤシ》を買うのよ、「だってさ、このモヤシって見てごらんなさい、すごーく安いのよ、それに栄養もあるのよ!」って言いながらね。
東京へ出てきたころお母さんの生活ってすごーく《ビンボーさん》だったんだってさ。
それは今のわたしの兄ちゃんの生活なんてもんじゃあないほどだったんだって。
お財布に100円と10円しかなくなってしまうと、いつでもキャベツとモヤシでなんとか次の月までつないでいったんだって。
「でもあのころは、夢がいっぱい、それでお腹は満腹だったわねー、お金がないなんて問題じゃあなかったもん!」
その後、いつでも、いつでも、うちんちのお母さんの言う言葉はこうなのよ。
「やはり若さって宝物、どんなつらさだって吹き飛ばしてくれたもんねー!」
うんうん、お母さんはだいじょうぶだよ。
いつだって、どんな時だって、夢を忘れない、おばさんの若さがあるじゃあないの!
わたし心の中で言ってあげるのよ、ちょっとお世辞がたっぷりすぎるかしら?!

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