『ローマへの旅』

 ローマに出席する10日前の日に、私の入れ歯が割れました、それも《季節のてんぷらと蕎麦定食》のランチを食べている最中にです。
あわてて歯医者さんに出かけましたが、ドクターのT先生はかわいらしい声で「アラマー、きっとそういう時期だったんだわね」と言われ、それから冷たく「でもねー、ローマまではちょっとなおすの無理ね。」とでした。
そして出発の1週間前にJR四谷駅のエスカレーターで後ろ向きにフローラと倒れてしまいました。
倒れたままに少しエスカレーターは上昇、どなたかがその動きを留めてくださった時にはホッとしました。
幸いな事に私もフローラも骨にも、筋肉にも、異常はなかったものの、この初めての体験は私たち二人にとても大きなショックを与えました。
そして二日後になりますと打ったところの痛さで私の体は後ろ向きもできないようになりました。
その後すぐにせきが出始めて、せきがでて、せきが出て、気管支がおしゃべりしているみたいにいつもシューシュー、ググーッでした。
これではとてもローマなんてという状況、出発の3日前に全休をとって薬を飲んで、とにかく眠りに眠りました。
そうしたらどうでしょう、体も心もススーッと軽くなってしまって、出発の前日おお慌てでスーツケースに荷物をつめこんで、つめこんで、24日の朝8時に幹太にそのスーツケースを押してもらって、羽田にたどり着くという状態での出発でした。
15時間のフライト、私はひたすら眠り、フローラはひたすら私の足元で同じく眠ってでした。

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