わたし郡司フーちゃん

 あのね、うちんちのお母さんがため息交じりに、「そろそろ行かなきゃあねー」と言い、時々深くため息をついて、「ああ、もう行かなければだわ」と言っていた背中まで伸びた髪の毛の事、重い腰をうんとこしょと上げて美容院にやっと、やーっと行ったんだよ。
それも往復タクシーに乗ってだなんて、「わー、すごいー!」って、わたししっぽフリフリだったわよ。
いつもはお母さんって『けちんぼうおばさん』じゃあないの、だからどうしたのー?って思ったのよねー。
「違う違う、あのねタクシー券がまだあまっているからよ、4月になったらただの紙だものね。」って、お母さんおすまし顔で言うのよ。
あれー、うちんちのお母さんもただ単純なおばさんでもなかったのね。

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