『フローラのお鼻トントンの巻』

 フローラとなるべく散歩に出かけるようにしていますが、彼女はマンションの玄関を出ると右に行きたがります、なぜならばそちら方向に歩くとJRの最寄り駅があるからです。
いつも使う改札口まで行きますと、そこからが大変なのです。
フローラは大喜びで改札口に鼻の先トントンで、「ここだよ、ここにカードタッチだよ」と教えてくれます。
しかしデンシャに乗っても今はどこも行くところがないのです。
今までは週2回は私とフローラだけでデンシャに乗ってのお出かけがありました。
「ここをタッチしなくていいのよ、どっこもゆかないんだからさ」って言っても、彼女はデンシャにのろうと聞く耳をもちません、それでもなんとか納得させて「さあ、行くよ」と、すると彼女は意地悪をするのです。
とんでもない路地に入り込んだり、とんでもないお店の中にはいりこんだり、そこを叱って、また逆戻りをすると、またまた駅の改札口に しっぽフリフリ、喜び勇んで向かいます。
そして鼻の先で「ここだよ、お母さんここにタッチだよ」とばかりに『トントン』させるのです。
そこをまたまた納得させて、「さあさあお散歩おしまい、お家へ帰るんだよ」と、本当にけなげでかわいらしいけれど、でも世話のやける娘、フローラです。
「やはり毎日が暇な盲導犬はストレスがたまるんだわねー」と言う私も、最近はうーんとストレス気味なのです。

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