奮闘記8

いよいよ訓練スケジュールも大詰め。バス、電車の乗り降りにはいりました。

JR吉祥寺駅のホームへの階段を決して軽快ではない足取りで私たちはえっちらえっちら上がってゆきます。というのは、どうも我がウランちゃんは階段があまり得意ではなさそうなのです。ホームに立つとななえおばさんもウランも、ともに一気に気合いは『キリキリシャン』、緊張の極みです。

電車がホームに滑りこんでくる気配、それと同時に「go」の指示を出しながら電車の方へ前進、ウランが足をストップ、ななえおばさん素早く足でそこが点字ブロックの上であることを確認。

「good good」

しかしそこでボーッと2人でつっ立つてはいられません。電車が止まりドアの開く気配ですぐに入ってゆくドアをウランに探させなければなりませんから。

さあウランの誘導で私たちは開いているドアの前に立ちました。すぐにななえおばさんは右足を出して電車の床を確認、「OK go」で2人同時に乗り込みます。それからウランに空いている座席を探させてやれやれとななえおばさん腰をおろして、ウランを自分の足下にダウンさせるのです。

第1日目は吉祥寺と三鷹を1往復。東伏見と田無の間を1往復。そして帰り道はバスで。蒸し暑さもあってか、それだけでいささかグロッキーになってしまったななえおばさんでした。いままでどこまででも電車に乗って、新幹線や特急に乗って、あの時々はなにげなくやっていたすべてのことって……、すごーいことだったんだわ!あらためてななえおばさん、「うーん」と感心の巻きでした。

そして「だいじょうぶよウラン、だれだって最初は不安で自信がないものなのよ。でもすぐに上手になるから」とウランに、そして「だいじょうぶお母さん、わたしたちすぐにうまくなるわよ」とお母さんのななえおばさんに、お互い慰めつつ、励ましつつでEコース・バス、電車の乗り降り初日はおわったのでした。

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