わたし郡司フーちゃん

 あのね、わたしとお母さんは週に1回四谷に行くんだけど、その帰り道駅で下校するランドセルの子供たちとであうんだよ。
うちんちのお母さんは腰が痛くて、足も痛くて、階段を下りる時右の手には手すりが必要なのね、わたしがそっちの方へ、そっちの方へへと行って、最後に手すりを鼻先でツンツンしておしえるのね。
そして階段を下りてゆく時には、お母さんに合わせてゆっくり、ゆっくりとなんだよ。
そのランドセルの子供たちが「すごーい!」とか「えらーい!」とか、「おりこうさんだわねー!」、「かわいらしいわー!」って言いながら、お目眼クリクリで見ているんだよ。
うちんちのお母さんも、そんな時はいつもにっこり笑顔だよ、きっとわたしが褒められてうれしいんだよね。
もちろんわたしだってうれしいわ、だからしっぽたかだかーと挙げて、グルングルン回すんだよ、「いいぞ!、もっともっといっぱーいほめてねー!」って言うみたいにだよ。

ページの先頭へ
前のページに戻る