教会の友達、Tさんが95歳になったというので、ずいぶん前からお友達だった3人でお祝いの会を開くことにしました。
どこのお店がよいかしらねーとあっちこっちと探して、探して、結局錦糸町の駅ビルに『ここがいいんじゃあないの』というお店を見つけました。
予約をというと、そのお店は「お一人様5千円のコースですか?」とのつれないお言葉。
私たちの予算はお一人様2千円だっていうのにさ。
でもあきらめないで、予定の日予約なしで、それでも12時前にはお店に入れるようにと途中で一人迷子になったものの、私たち4名とフローラはそれなりにがんばってなんとかお昼前の11時45分ころお店に到着しました。
2千円のコースはメインはおさしみのお皿と、てんぷらのお皿で、その横に籠があって、そこに色どり良く小さなお皿にお料理がならんでいます。
「まあ、きれいねー!」とこの日の主賓Tさんがつぶやいて、思わずなーおばさんの顔も笑顔です。
まずは「やったねー!」って気持ちでした。
「このお皿のお料理、鶏肉が入っているよ」と、言う声に「誰かにあげる、食べて、誰か食べてね」と私が言えば、「それじゃあいただくわ」とすぐに手が伸びて、鶏肉入り料理はお皿ごと私の前から消えてくれました。
「この茶碗蒸し、鶏肉だいじょうぶかなー!?」とつぶやけば、誰かが「うんうん、入っていない、だいじょうぶよ」と応えてくれます。
そうなのです、私は鶏肉食べない人間なのです。
そして95歳のTさんはというと・・・・
時間がかかったものの目の前の全てのお料理を食べて、コップに少々のビールも飲んで、「わたし眠くなってきたみたいだわ」とつぶやいて、「ねー駅のバスターミナルのところまで送ってくれないかしら、そこから独りで帰れるから」と言うのです。
Yさんが駅ビルぐるりと回って北口のバスターミナルまで送って行って、その間私ともうひとりの友人はエチオピアコーヒーの喫茶店でYさんがもどってくるのを待って、95歳の誕生会はおしまいになりました。
「私たちも95歳まであんなに元気でいられたらねー・・・・・」と、3人の女はそれぞれエチオピアコーヒーを飲みながら、お互いに自分の95歳の姿を頭に描いて、深いため息をもらすのでした。