わたし郡司フーちゃん

あのね、幹太兄ちゃんがキッチンの換気扇掃除に、洗剤持参でやってきてくれたんだよ。
いつもはね、お母さんのところではやや《ボケー》ッとの兄ちゃんだけど、今回は力がはいっていて懸命だったわ、見ていてわたしにもわかったもん。
ついでにガスレンジも磨いて、あっちこっちの汚れもとって、なかなかな働きだったんだよ。
それからバスの壁にくっついている黒いカビも取り除いて、「母さん、できたからね」と言った時には、台所も、お風呂場も、それなりにピカーッとしていたわ。
お母さんが掃除機をかけている間に、兄ちゃんとわたしは散歩に出かけて、わたし鼻なんてちょっとも鳴らさない、おりこうさんのフーちゃんだったのよ。
ここのところうちんちのお母さんはちょっぴりさみしそうだったから、きっと兄ちゃんが《母さん元気だしなよ!》って、なぐさめにきてくれたんだね、『いいとこ、あるじゃん』って、わたし思ったんだよね。

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