『親切な運転手さん』

 バスやデンシャに乗ると周りの人が本当にすくないことに気がつきます、コロナウィルスのために誰もが外出を控えているのでしょう。
そしてこんなときだからこそ、誰もがすこぶるやさしいことにも気がつきます。
私はよくフローラとバスに乗ります、ほとんどが都バスですが、運転手さんがとても親切です、私たちが座席に座るまでバスをスタートさせないで待っていてくれたりもします。
私はこのゴールディンウィークが過ぎると盲導犬と生活するようになって41年になります、時々かつてベルナと生活していたころのことをしみじみと思い出すことがあります。
その生活は日々戦いでしたし、私と盲導犬のベルナはその戦いの戦友でした、ともにひとつひとつのハードルを越えてという気持ちが私にも、盲導犬のベルナにもありました。
最近すっかりしわだらけになった両方の手をこすりこすり、指をこすりこすり、私はつぶやきます、「よーくやってきたわ ・・・・・」って。
小学生向きの私の本に『親切な運転手さん』という箇所がありますが、つらくて、悲しくて、寂しくていきどおった時に、思いがけなく親切な運転手さんに出会ったり、親切な周りの人たちにであったりすると、思わずフワーッとまぶたが熱くなって涙がポタッてほおに零れ落ちそうになって、あらーどうしたらいいだろうか?!って顔を赤らめたりしてしまいました。
そんなとき必ず、傍らのベルナが見上げて、「よかったね」って言うようにしっぽをブンブンふりまわしてくれるのでした。
バス車内の写真

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