『夏になると思い出す本』

 暑い夏になると思い出す一冊の本があります、それはモーパッサンの《女の一生》です、最初に読んだのが小学六年生の夏でした。
当時高校1年生だった姉の机から内緒で、姉の不在の時に読むのですから、玄関のすぐ上の風通しの悪い部屋で読んでいないと、みつかったらうるさいほどに叱られるのです。
汗いっぱいで読み切るまでにあせもができるほどでしたが、結局何が書いてあるのかよくわからないままに、それでも読み切りました。
次に同じ本を読んだのは高校2年生の夏でした、今度は自分で買った本だから涼しい縁側に椅子に寝転んで読みました、そしてなんだか女ってつまらない者なんだと思いました。
そして20歳の夏にも同じモーパッサンの女の一生を読みました、自分の本棚からとりだして、その文庫本は汗のしみたにおいのする本でした。
その時、女ってすてきな生き方ができるんだわねーと、心はときめきましたが、当時は既に私の体はベーチェットの発作が出て苦しんでいましたので、そんな気持ちになる前に命がだめになるかもなーと密かに思いました。
今思う事は、この今またモーパッサンの女の一生を読みたいと、そして私はどう思うのだろうか、是非心がときめいてほしいものだと思うけれど、今は既に78歳の心だからどうだろうかとですが・・・・。

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