30年前のこの日、日にちが変わった1時11分、幸治さんは亡くなりました。
最後の言葉はかけつけた私と少学6年生の幹太とで呼びかけた声に、「うん」と応えただけで命のともしびは消えていきました
その前日彼は既に自分の死を予測していたのでしょう、私だけをベッドの横に呼び寄せて、手を握り合って最後の別れをしました、本当に悲しかったです。
「幹太を頼む」とささやくような小さな、息の抜けた声で私に言いました、「だいじょうぶ、懸命にやるわ」と応えたものの、最後は言葉にもならずに滂沱の涙が出ました。
そして今年のこの日、私とフローラ、もうすっかりおっさんになった幹太と白い花を持ってお墓参りに行きました。
「ああ、あれからようよう、ここまでやっとたどり着いたわ」と言う私に幸治さんは「よくやったねー」とは言ってくれませんでしたが、微笑み返しをしてくれました。