『赤いつつじの花の思い出』

もうすぐ5月、そろそろ5月病が始まる頃になってきました。
私も幼稚園に入った5月にこの病気にかかって、重症患者でした。
いつも朝になると庭に出て、赤いつつじの花の近くで泣きました、「ようちえんなんかいきたくない」と言うのが毎日の私の言い分です。
母はまたかーと怒り顔で縁側から見ています、そして父は私の傍らでいつも言うのです、「早く行って、早く帰ってくればいいんだから」とです。
泣きながら父のこの言葉が不思議でならない私でした。
「幼稚園って所は先生がもうお帰りだよーって言ってくれなければ、だーれも家に帰れないのに、うちのお父さんはばかなんじゃあないの」と言うのが4歳の春の私の言い分でした。
でも泣くのが忙しくて口答えはできない、とにかく誰かに「行かなくてもいいよ、お休みね」と言ってもらいたい、その一心で、「いきたくない、いきたくないよー」と、毎朝泣いていたのですから。

【写真】つつじの花とともに

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