『白木蓮の花がきれいです』

 木蓮の花が好きです、城木蓮の花です、あの凛としたたたずまいが好きなのです。
17歳で発病したベーチェットがまだ年若かった私の体の中で共存共栄を嫌って猛威を振るっていた20台のころでした。
時折激しく襲って来るその発作、目の痛みと体のだるさはあったものの、洋画の文字もまだ何の苦労もなく読み取れる視力はありました。
当時、私はほのかな恋をしていました、なかなか実らない片恋状態だったのですが・・・・・。
夜ふけの帰路の道で、どなたかのお宅の庭を横切った時に暗闇の中にぼーっとかすむように咲いている城木蓮の花を見ました、その凛とした佇まいが私の心に静かに染みわたります。
この季節になるといつも城木蓮の花の姿を思い出して、私自身の今を見つめます。
戦争が勃発したり、寒かったり、急に夏日のような気温があったりで、今年の春はなかなか落ち着かない気もちですが、木蓮の花はきれいです。

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