『少年の風をまとった人でした』

 田畑精一先生が亡くなられたことをインターネット配信のニュースペーパーで知りました。
《さっちゃんのまほうの手》は私の大好きな先生の作品です、そしてかねてから頭の中で空想してきた「私のベルナも絵本にならないかしら?!」と突然思って、先生を経堂駅近くの《田畑精一作品展》にすでにかなり老体だったベルナと共に訪ねて行ったのは、今から27年ほど前の暑い夏の午後の事でした。
それから1年ほど過ぎて、私の最初の絵本『ベルナの目はななえさんの目》は童心舎から折茂京子さんの絵で出版されました。
そのささやかな手作り出版パーティーの会場に田畑先生も出席してくださって、とても感激いたしました。
いつお会いしても、いつお話をさせていただいても、いつでもいつでも、先生から漂ってくるのは少年の眼差し、少年の笑顔、そして少年の雰囲気でした。
私はその少年の風にそよそよ吹かれて、情熱と新年をまっしぐらに追い求める人間のすばらしさ、すてきさを感じさせていただきました。
田畑精一先生ありがとうございました、そしてさよならです。
私も自分の信じる道をふみはずさずに、ただただ淡々と生きていきたいと願っております。

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