東欧・プラハへの旅 NO.18 第5日目[完]

 おみやげ屋さんが軒を並べているところをウェンドショッピングしながら、スメタナホールを経由して私たちはヴァーツラフ広場にでました。
ここはプラハの春の舞台になった広場です、その後ソ連軍侵攻の場となって、チェコ独立、解放の喜びに震えた場所でもあります。

チェコ国民はもちろんの事、プラハ市民にも、とても大切な場所でもあります。
私たちがそこに到着した時、大通りの向こうから賑やかな一団が波のようにこの広場をつっきって行きます。
LGBT(性的マイノリティ)、同性愛の人たちの《性の解放パレード》の真っ最中、二人連れで腕を組み合って、堅く抱き合って、抱擁しあって、まあとても賑やかで見事な見ごたえのあるパレードが続いて、目の前を通り過ぎて行きました。
私もウランもただただ口をパックリ開けて眺めるほど深く感心、その迫力にただただ唖然とするばかりでした。
そのうちに、「私はもうだめだわー!」とミセスKのせつなそうな声、やはりあの迫力にすっかり《ノック・ダウン》になってしまったのかしら!?と思いましたが、それがまったく的外れ、彼女はお腹がすきすぎての《ガスケツ・ダウン》だったのです。
「なーんだ、本当にもうしかたがないねー!」とうっちゃんが笑い、私もウランもついつい「クックックーぐはー!」と大笑いをしてしまいました。
それではということで広場の横にあったカェに入りましたが、昨日ヤナさんと一緒に入ったお店とはまったく雰囲気がガラリと変って、ずいぷんアメリカ的においのするお店でした。
大きな肉の塊がはさんであるハンバーガーは、私がどう格闘してもあまりに大きすぎてとても胃袋におさまりそうもなくて、半分も食べないうちに、「もうだめ、これ以上食べたら動けなくなってしまいそうだわ」と白旗を掲げてしまいました。
足元のウランが「えー、いらないの?!私は?わたしは? わたし食べられるよ!」積極的に首をのばしています。
しかしここで日ごろ食べたこともないこんなものを食べさせて、体調を崩しては一大事、「幹太兄ちゃんのおみやげをもう少し買って帰ろうね、きっと飛行場でウランちゃーんってお迎えに出ていてくれるよ」
そう言うと、さも納得納得というかのように、ウランは手の上に自分の顔を乗せて居眠りをはじめました。
「それにしてもあのパレードすごかったねー!」
「迫力あったよねー!」
「ああいう人たちは性生活に純粋っていうか、その魔法にかかってしまっているっていうか・・・・・、でもああいうふうにさらけ出せればそれはまた幸せってものじゃあないの?!」
日本のおばさんと言うべき私たちはやや興奮気味に、それでも下品にならないように注意を払って、話します。
 さあおなかもいっぱい!、すばらしい性解放パレードも見たし!じゃあまたショッピング開始としましょうかねー
ミセスKの掛け声で昼下がりのひととき、風に乗って私たちはお買い物を楽しむおばさんになりました。
チェコビーズのお店に入っている時、うっちゃんが「あれー、ここにあったよ!」と言いました。
出発する錦糸町の駅のホームで彼女がインターネットに載っていた《Uガラス》の置物がショーウィンドの中にあったのです。
「この緑の輝き、とても神秘的だわ!、すてきよー!」見つけたうっちゃんはやや興奮気味です。
お値段はと日本円に換算してもらうと、それほどの値段でもなかったので、ウランの記念Uガラス、ウランガラスということでウランちゃんから幹太兄ちゃんへのおみやげにしましょうということになりました。
そのお店にチェコグラスでできた星座の置物もありました。
カットのところがキラキラ輝いて、とてもきれいだとのこと、「かに座はないわよねー?」とたずねます。
「さあねー、かに座は形的にグロテスクだからないんじゃあないの」と言いながら探してくれましたが、うっちゃんが「ないない、やっぱりないわ」と応えてくれます。
「それじゃあさ、おとめ座はどうかしら?」
「それはきっとあるわ」という答えが返ってきて、すぐにかわいらしいオトメチックなおとめ座のチェコグラスの置物はみつけることができました。
「じゃあこれも買ってかえろうかねー、幹太にいちゃんはおとめ座の男だからね」と言うと、ウランは小首をかしげて「うんうん」と言うかのようにまぶたをパチパチさせました。
さあこれで幹太へのおみやげはそろえたし・・・・と満足感でいっぱいの私とウランでした。
 一度アパートメントハウスにもどって、私はまた排水の悪いバスに入りました、今夜はすぐに眠ろうという算段、だからデナーの前にお風呂に入ってしまいましょうということなのです。
ウランはすでに夕食のドッグフードを食べて、「今日はまるまるよーくあるいたわねー!」とばかりに1階のリビングの絨毯の上で大の字になって眠っています。
再度私たち女7名とプラスウランとがアパートメントハウスの玄関ドアを開いて歩道に出た時、白夜の気配が濃厚で、時計はすでに夕暮れの時間なのですがまだまだ明るいのです。
ヤナさんが昨日のうちに予約を取っていてくれているデナーの会場は川向うです、そこまでまたこの東欧の白夜の雰囲気を楽しみながら、ブラブラ歩いていきましょうということです。

有名なサヴォイホテルのレストランは町並みに調和したとてもすてきな外観でしたが、店内もまたシックでそれがゴージャスな気分にさせてくれる、そんなインテリアでした。
メインディッシュは魚料理を注文しますと鮭のムニエルでしたが、それにチェコビールがとても出会い物で、乾杯の後はただただ「おいしいわー!」と言いながら舌鼓をでした。

横からうっちゃんが「ななえさんモラビアワインはチェコを代表するワイン、是非飲んでみてよ、おいしいわ!」と進めてくれるので、それならとまたそちらのグラスにも手を伸ばして「ウーン、これもおいしい!日本人でよかったね!」などと訳のわからないことをつぶやく私でした。
「あの値段、間違っているのじゃあと思うほどやすかったのよ!」と支払いをすませてミセスKが驚いたというほどだったのですが、でもプラハの最後の夜を十二分に満喫させてもらった、ビールで何回も何回もグラスを高くあげて「乾杯!」をするほど楽しかった晩餐会でした。
さあ、あしたはいよいよ日本に向けて飛行機ビューンだよとウランに声をかけます、そして小さな声で「これがウランちゃんとお母さんの最後の海外旅行になっちゃうわね、たのしかった?」とたずねます。
「うん、楽しかったよ!」と言うかのようにウランはまたまぶたをパチパチさせて応えてくれました。

「東欧プラハへの旅」を長くお読みいただいてありがとうございました、これで全て《THE END》です。
時々間があいてしまって、もう書き続けるのはおしまいですかというメールをもらったり電話をもらったりしましたが・・・・、そういう時はちょー忙しいおばさんの日々、とてもワープロに向かっている時間さえとれなかったのだとご理解ください。
そんなわけで時々もうこれで途中断念かなーと思いながらも、届くメールに、かかってくる電話での励ましにまた力をもらって、なんとかここまで書き続けましたこと、応援してくださった皆皆さまに深く感謝をの気持ちでいっぱいです。

旅はいつでも私の心をときめかせてくれます、出発する前はいろいろ想像して楽しみ、実際に旅をして楽しみ、そして帰ってきてから思い出に楽しむ、なーんて楽しみがいっぱいなんでしょうか?!

どこかの街で、どこかの風に吹かれて、また皆々さまにお会いできるといいですね。

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