東欧・プラハへの旅 NO.13 第3日目

 このショッピングモールでの私の《お買い物リストNO.1》はなんといってもウランの検疫では英語の書類とチェコ語の書類を作成してもらった動物病院のスタッフのみなさんにということです。
その動物病院はドクター、ナースもかなりな人数が居ますし、そこに事務の人たちとなると・・・・、何であってもABOUT30個くらいの数は必要です。
かなり広いスナック売り場をうっちゃんと何回もグルグル、ウランがあきるほど回りましたが、結局ドライフルーツを飴のようなもので固めた《チェコの一般的なスナック》を買いました。
布のトートバッグに入れるとズシーンと腕に食い込むほどの重量感です、「これだけでずいぶん重いんだねー!」と嘆き節が出そうなほどでした。
それからにおいのとてもすてきな小さな薔薇石鹸を見つけました。
「ななえさん、このにおい好きでしょ!」と、うっちゃんがひとつつまみあげて私の鼻の先でブラブラさせました。
「あれー、なかなかすてきな香りね!!」と、素直な私は即買い物バスケットの中にいくつかのその石鹸をポイポイと入れました。
このショッピングモールで1番おもしろかった買い物は、ブックショップ(本屋さん)で大きな世界地図に目をとめたミセスKが、それを買うかどうするかでかなり迷った時のことです。

それは畳1枚くらいはあるかなーと思えるほどのとても大きな世界地図でした、もちろんこの国《チェコ》を真ん中にしたものなのですが・・・・・、とにかく大きさがはんぱでないのです。
私自身もそれを買い求めたい方向へ気持ちが少し動きましたが、結局わが家にはそれを張り付けるだけの広い壁がないということで、即断念しました。
そんな私に比べてミセスKのその地図へのこだわりは強くて、迷いながらも秒刻みにドンドンドーン、そしてドドーッと買う方向へ気持ちは動いている様子でした。
ちなみにこの大きな地図は日本円2000円ほどの金額なのです。
それからまたまた新しい問題が勃発、この地図を買った後、それをどうやって飛行機の手回り荷物として機内に乗せて日本へ運ぶかということです。
「だいじょうぶよ、このままクルクル丸めて棒状にして・・・」
そうミセスKが言った瞬間、うっちゃんが「そのままバイバイ、あなただけプラハに居残り組みになるわよ!」と、笑いながら言います。
「そうか・・・・、やはりだめかなー!?
それじゃあやはりきれいにたたんで持ち帰って、わが家で裏からアイロンがけにして折り目を消す、これ以外の方法はないかな!」
聞こえてきたのはミセスKの、苦肉の決断でした。
彼女は自分の教え子たちのためにこれを買って帰って、「世界はこんなに広いのよ、私たちの国、日本がどこにあるかよーく見てごらんなさい」
教え子たちのためにこの地図を教室の壁に張りたいと言うのです。
「まあ、なーんてすてきなクラス担任、そしてグッドなイングリッシュ・テーチャーかしらねー!」
その心意気に感動、思わず言ってしまった私です。
ミセスKは一昨年一緒に旅したカナダでも《トーテンポール》の大きなものを、といっても棚の上に飾り物として置く程度の大きさなんですが、それを生徒たちに見せるのよと言って買って帰りました。
このミセスKは私とは年齢的に姪というより娘といったところなのですが、かなりなファイトと情熱の持ち主で、出会った瞬間から昔からよーく知っている気の合うなかま、友達という雰囲気の彼女なのです。
私はこのブックショップでチェコの絵本を1冊買いました、それを選んでいる時に思わず「ねえ、チェコ語はとても読めないから、英語で書いてある絵本はないものかしら?」とミセスKにたずねました。
「日本の本屋さんに日本語の絵本が売っているように、ここの絵本は全てチェコ語ですねー、もっと専門的な本屋さんに行かなければそんな英語の絵本などみつけられませんわよ」とつれない返事でした。
それならということで、絵だけがある、文字はまったくないという絵本を探して、それを1冊買い求めました。
あれやこれやと本屋さんの中を歩き回って、お店の小さな売店のようなコーナーでイニシャル型に切り取ってあるメモ帳をみつけました。
私がすごーくおもしろがってしまって、「ネエネエあなたはこのKを買ったら、私は友達にMを買うからさ」と強くミセスKに勧めました。
のちのち日本にもどってからミセスKが笑って言うのに「あのメモ帳だけは使ってみようがないのよね、書く場所がほとんどないんだものねー」と。
私はその度に、「それじゃあMをもらった友達はやはり書く場所がないメモ帳にとまどっているかしら?!?!」と思わずニヤニヤ笑いをしてしまうのです。
あっちこっちとショッピングモールの中をフラフラ見て回って、私たちは《H&M》の店内に入り込みました。
そもそもこの《H&M》の本社はスェーデンだとか、だからこのショッピングモールに並んでいる商品はどことなく色合いなども東欧調のエキゾチックブルー色合いの物ばかりです。
といってもこのお店は日本にもあって、それなりに日本人の心を捉えているということですが、そこはやはり日本人好みの《H&M》になっていて、雰囲気的にはこの目の前に広がっているものとは微妙に違うということでした。
プラハの夏は短いのでしょうか、すでに季節は秋、初秋の気配が漂っていて、店内は《サマーバーゲンセール》真っ最中、その途端にうっちゃんが大はりきりになりました。
「ななえさんに似合うこれから着れるような物を選んでくるわ!」
私とウランを壁近くに待たせると、ものすごい勢いで探し回ってくれました。
しばらくするとまたすごい勢いでやって来て、「これ、これきっとななえさんに似合うわよ!、どうかしら!?」と2枚のシャツを持ってきてくれました。
「こっちを下に、そしてこれを上から羽織って着ると、なかなかグーな、ななえさんのおばさんスタイルになるわよ!」と言ってくれたので、このうっちゃんの買い物上手には毎回舌を巻く思いの私でしたので即それを買うことにしました。
なんていってもその2枚で日本円1400円程度だったのですから、それはまたとない《お得なお買い物》になってくれるはずなのです。
下に着るというシャツは小花模様、上に着るというシャツは模様無で少し胸元があいている7分袖のもので、どちらの色合いも東欧ブルーで、なかなかしゃれた色合いでした。
とてもとてもこの2枚で日本円1400円などとは思えないしろものです。
そして私たちは重い荷物をもって一休み、カフェで買ったものを出したり、ひっこめたりしながらの品定め、そんな休憩タイムをとりました。
エスカレーターで階下まで下りて家庭用品売り場に行きました。
このプラハ5連泊で私たちが宿泊しているのは短期滞在型アパートメントハウスです、だから日常雑貨や食材などは自分で調達しなければならないのです。

そこでトイレットペーパーや水切りふきん、今夜の夕食の食材を買い求めるわけです。
「ワインも忘れないようにしなければね」とミセスKの言葉に、私も速反応、「そうそう、その買い物が大切よねー!」と応えたのです。
魚の売り場でうっちゃんがノルウェーの鱈の切り身を4切れ買いました、もちろん冷凍でコチンコチンに固まっている切り身です。
その日の夕食の主菜はその鱈のソテーです。

夕食のテーブルで白ワインを飲みながら鱈のソテーに舌鼓をで、気分は上々です。
「このバター、どうしたの、これも買ってきたの?」とたずねる私に、「ううん、それは授かりものよ、飛行機の中でパンについてきたじゃあないの、あれよ」
うっちゃんはごくごすました顔です。
「やっぱり優秀主婦は気働きがちがうわねー!」と、いつもいつも手抜きだらけの私は苦笑いです。

アパートメントハウスにもどって真っ先に冷蔵庫につっこんだ白ワインもほどよく冷えて、この《鱈のソティ》をよりおいしくしてくれています。
ウランだけが早々におねむおねむの熟睡タイムに入って、私の足に寄りかかって眠っています。
夕食も終わりになったころ、ドアの外が急ににぎやかになって、テーチャー・クミコが「ただいまー!」ともどってきました。
「みんな無事に帰ってきましたー!」と、疲れをにじませながらもにこやかな笑顔です。
「ごくろうさまでした、あなたの食事もあるのよ、まずワインどうかしら?」とうっちゃんです。
「でも今日はもういいわ、それよりシャワーを浴びて眠りたい!」とテーチャー・クミコが応えます。
そして私とウランも食事が終わって、お茶を飲んだ後、「おやすみなさーい!」という言葉を残して屋根裏部屋への階段を上がっていきました。

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